生理前に「だるい」「眠い」と感じるのはなぜ?

ホルモンバランスが変化する生理前は、心身ともに不調を感じやすい時期です。とくに「いつもより眠い」「だるくて動けない」といった症状は多くの女性に現れるもの。ここでは、女性ホルモンや自律神経の働きとともに、その原因を解説します。
女性ホルモンの変化が影響している
生理前は、黄体ホルモン(プロゲステロン)が急激に増加する時期。プロゲステロンは妊娠をサポートする働きがあり、基礎体温を上げたり体をリラックスさせたりする効果があります。また、眠気を強く感じさせる作用も持っています。
黄体ホルモンは、脳の中枢神経に働きかけて副交感神経を優位にし、体を休息モードに導こうとします。生理前に眠くなるのは、ホルモンによる自然な生理現象といえます。
自律神経の乱れが関係している
ホルモンバランスが大きく変わる生理前は、自律神経にも乱れが生じやすくなります。自律神経は、交感神経と副交感神経を自動的に切り替えてくれるもの。しかし、これがうまく機能しなくなるとだるさを感じやすくなります。
また、生理前だけでなく、季節の変わり目やストレスの多い時期は特に影響が強く出る方もいます。
PMSの可能性がある
生理前に眠気や倦怠感、イライラ、むくみ、食欲の増加、頭痛、情緒不安定などの症状が現れる場合、PMS(月経前症候群)の可能性があります。
さらに、気分の落ち込みが激しい、涙が止まらない、怒りが抑えられないといった強い精神的な症状が出る場合は、PMDD(月経前不快気分障害)という状態である可能性があります。このような症状がある場合は我慢せず、早めの受診や対処が大切です。
妊娠初期症状と生理前症状の違い

「今回の眠気、もしかして妊娠かも…?」そんなふうに感じた経験がある方もいるでしょう。妊娠初期症状と生理前症状には共通点も多く、見分けが難しいのが現実です。ここでは、妊娠初期症状と生理前症状の違いを解説します。
腹痛や腰痛
妊娠初期には、受精卵が子宮内膜に着床したあと、子宮が少しずつ変化し始める影響で「チクチク」「ズキズキ」といった軽い痛みが出ることがあります。着床による痛みは排卵後、およそ12日目ごろに痛みとして現れるケースもあります。
一方、生理前の腹痛や腰痛は、「重だるさ」や「ズーンと響く痛み」が特徴。腰の奥のほうが引っ張られるような感覚になることも多く、生理が始まると次第に軽くなります。
おりものの変化
妊娠初期には、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が増え、おりものがサラサラと水っぽくなり、量も増える傾向があります。無色透明でにおいが少ないのが特徴です。
一方で生理前は、プロゲステロンの作用によっておりものが白っぽく粘り気を帯び、ややにおいが強く感じられることもあります。
胸の張りや痛み
胸の張りや痛みは、妊娠初期と生理前のどちらにも見られる症状です。妊娠している場合は胸の張りが長く続き、触れると痛みを感じやすくなります。
生理前の胸の張りや痛みは、生理が始まると張りや痛みがスーッと引いていくのが特徴です。
眠気やだるさ
妊娠初期は、ホルモンの急激な変化により強い眠気が続く傾向にあります。「朝起きても眠い」「一日中ぼーっとしてしまう」などの症状が強く出ることも。
生理前の眠気も強いことがありますが、妊娠している場合はより長く続き、通常のPMSとは質が異なるように感じる方もいます。
基礎体温の違い
妊娠している場合、排卵後の高温期が2週間以上継続するのが一般的です。生理予定日を過ぎても高温が続く場合、妊娠の可能性があります。
一方、生理前の高温期は約14日前後で終わり、生理が始まると体温が下がります。起きてすぐに体温を測り、アプリや手帳などで管理すると便利です。
生理前症状の対策方法

生理前の眠気やだるさを少しでも軽くするには、日常の中でできる小さな工夫を取り入れましょう。ここでは、ホルモンや自律神経の乱れによる心と体の負担を減らす方法を解説します。
朝の光を浴びる
毎朝しっかり太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、セロトニン(幸福ホルモン)の分泌が促進されます。これにより、自律神経が整いやすくなります。
時間がない朝でも、カーテンを開けて窓のそばで朝食をとるだけでもOK。なるべく自然光を取り入れる習慣をつけてみましょう。
カフェインを控える
眠気がある日はコーヒーやエナジードリンクに頼りたくなりますが、カフェインの摂りすぎは自律神経を刺激してしまいます。カフェインを摂りすぎると夜の眠りが浅くなってしまうため、1日1〜2杯程度を目安にするのがおすすめです。
カフェインを控えるだけでなく、ルイボスティーやカモミールティーなど、リラックス効果のあるハーブティーも取り入れてみてください。
体を温めて血流を促す
生理前は冷えやすく、特に足先や下腹部の冷えはホルモンバランスの乱れを助長しやすくなります。
具体的には湯船に浸かってしっかり温まる、腹巻やレッグウォーマーを使う、白湯を飲むなどで血流を促すことで、だるさの軽減が期待できるでしょう。また、軽いストレッチやヨガなど、無理のない範囲での運動もおすすめです。
低用量ピルや漢方の服用
ホルモンバランスを安定させるために、低用量ピルの服用も対策の1つ。副作用などが心配な方は、漢方薬を処方してもらうこともできます。
また、IUS(子宮内システム)や精神安定剤、抗うつ薬などが検討されることも。体質やライフスタイルに合った治療法を見つけていきましょう。
※IUS(子宮内システム)とは、黄体ホルモンを少量ずつ子宮内に放出する小さなT字型の器具で、避妊や生理痛の軽減に使われます。医療機関で装着します。
生理の悩みをはじめ、妊娠や女性ならではの悩みを抱えている方は、ぜひCuepodのオンラインカウンセリングに相談してください。ケアコーディネーターがあなたの悩みをサポートします。
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日常生活に支障が出る場合は婦人科に受診
朝起きられない、仕事や家事ができない、人と関わるのがつらいといった症状が続く場合は、PMSやPMDDの可能性があります。
このような症状に悩んでいる場合は、婦人科を受診しましょう。婦人科では、問診や血液検査、基礎体温の記録などから、適切な診断と対策を提案してもらえます。
生理前のだるさや眠さは早めの対策がおすすめ
生理前のだるさや眠さは、ホルモンバランスの変化や自律神経の乱れなどからくる自然な現象です。ただし、日常生活に支障が出るほどつらい場合は、PMSやPMDDといった症状が隠れている可能性もあります。無理せず休むことを意識しながら、婦人科で相談してみましょう。






