生理前のおりもの、正常なにおいは?気になる原因と対策を解説

生理前のおりもの、正常なにおいは?気になる原因と対策を解説

最終更新日:
2025-12-10
公開日:
2025-12-10

生理前になると「おりもののにおいが強くなった気がする」と不安になる方も少なくありません。ホルモンバランスの影響でおりものの状態が変化するのは自然なことですが、中には病気のサインが隠れている場合もあります。

本記事では、生理前のおりものににおいが出る原因や、正常なおりものとの違い、受診の目安をわかりやすく解説します。

生理前におりもののにおいが強くなるのはなぜ?

生理前になると、おりもののにおいが普段より強くなったと感じる女性もいるでしょう。おりもののにおいが変化する理由には、女性ホルモンのバランスや腟内環境が関係しています。ここでは、生理前におりもののにおいが強くなる原因を解説します。

女性ホルモンの変化による影響

女性の体では、月経周期に合わせて女性ホルモン分泌のバランスが大きく変化します。生理前のおりもののにおいの変化も、このホルモンバランスの変化が影響していると考えられます。

排卵期は透明でサラサラしたおりものが増え、黄体期に入ると粘度を増して白っぽくなり、酸っぱいにおいが強くなります。

雑菌が繁殖しやすくなる

生理前はホルモンの影響で免疫力が落ち、腟の自浄作用も弱まりやすくなります。そのため、普段は抑えられている雑菌が増え、においが強くなることもあるでしょう。

特に蒸れやすい下着、長時間の着用、通気性の悪さは雑菌繁殖の原因となります。強いにおいを防ぐためには、日頃からデリケートゾーンを清潔に保つことが大切です。

正常なおりものの特徴

おりものは体の健康状態を表すサインと言われています。生理前のおりもののにおいが変化することで、「何か病気なのか」と不安を感じる方もいるでしょう。ここでは正常なおりものの目安を解説します。

量やにおいの目安

健康なおりものは、乳白色から無色透明で、多少の粘り気があります。これは腟内に存在する乳酸菌が酸性環境を保ち、外部からの菌の侵入を防いでいるためです。においは少し酸っぱく感じる方もいますが、強い不快臭でなければ通常の範囲とされています。

生理前にはにおいが目立つこともありますが、かゆみや痛みなどがなければ、特別心配する必要はないと考えられます。

生理周期ごとの変化にも注意

おりものの性状は、生理周期に合わせて変化します。排卵期には量が増えて透明でのびやすく、精子を受け入れやすい性状です。一方で、黄体期には白く濁り、やや粘り気のある状態に変化するのが一般的です。

さらに、生理直前には子宮内膜からの出血が混じり、茶色やピンク色のおりものになることもあります。

注意が必要なおりもののにおい

おりものの状態が普段と明らかに異なる場合は、注意が必要です。おりものの異常なにおいが気になる場合は、腟内や子宮に何らかのトラブルが起きている可能性があり、早めの婦人科受診がすすめられます。ここでは、特に注意したいにおいの特徴を紹介します。

魚のような生臭いにおい

魚が腐ったような生臭さを感じる場合は、細菌性腟症の可能性があります腟内の善玉菌が減少し、悪玉菌が優位になった場合に起こることがあるでしょう。

細菌性腟症は医療機関で抗生物質などによる治療が行われますが、再発しやすいため早めの受診が大切です。放置すると慢性的になり、日常生活にも支障をきたすことがあるので注意しましょう。

甘酸っぱいにおいや強いかゆみ

甘酸っぱいにおいとともに強いかゆみや灼熱感があり、白くポロポロとしたヨーグルト状のおりものが出る場合は、カンジダ腟炎が考えられます。常在菌のカンジダ菌が、疲労や抗生物質の使用、免疫力低下によって増殖するのが原因です。ただし、カンジダ腟炎の場合はにおいはあまり変化しない場合もあります。

カンジダ腟炎は自然治癒しにくく、繰り返しやすい特徴があります。産婦人科では、腟錠の使用や洗浄などの処置が行われます。

腐敗臭や膿のようなにおい

腐敗臭や膿のような強いにおいを伴う黄色や緑色のおりものが出る場合は、性感染症の可能性があります。なかでもクラミジアや淋菌感染、腟トリコモナス症などが代表的です。
腟トリコモナス症では、色やにおいに加えて泡状の特徴的なおりものが出ます。

いずれの感染症も、進行すると骨盤内に炎症が広がり、不妊や慢性疼痛に繋がることもあります。異常を感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。

生理前のおりもののにおい対策

おりもののにおいが変化するのは正常ですが、生理前のおりもののにおいが気になる方は少なくありません。デリケートゾーンを清潔に保ち、腟内のバランスを守ることを意識すれば、不快感を減らせます。ここでは、生理前のおりもののにおい対策を紹介します。

下着を清潔に保つ

下着を清潔に保つことで、においが抑えられます。ポリエステルなどの化学繊維は蒸れやすく、雑菌が繁殖しやすいため、通気性の良いコットン素材を選ぶと良いでしょう。

また、汗をかいたときや長時間外出する際は、替えの下着を持参してこまめに交換するとより効果的です。

デリケートゾーン専用ソープを使う

石鹸やボディソープはアルカリ性が強く、腟内の常在菌バランスに影響を与える可能性があります。弱酸性でpHを保てるデリケートゾーン専用ソープを使用しましょう。

専用のソープであれば、腟内の常在菌バランスを崩すことなく、においの原因となる汚れや皮脂を取り除けます。また、洗いすぎも刺激になるため、1日1回程度を目安にしましょう1)

ストレスを溜めない

ストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、免疫力を下げる要因になることがあります。その結果、腟内の環境が崩れて雑菌が繁殖しやすくなり、においが強まることがあるでしょう。

日頃から十分な睡眠を取り、バランスの良い食事を心がけ、軽い運動や趣味でリラックスする時間を確保しましょう。

受診するべきおりもののにおいや症状

セルフケアでおりもののにおいに改善が見られない場合や、強い不快感を伴う場合は病気が考えられます。。おりものの異常を放置すると悪化する可能性がありますので、早めの婦人科受診を検討しましょう。ここでは、受診するべき受診するべきおりもののにおいや症状を解説します。

強いかゆみや痛みを伴う場合

陰部に強いかゆみやヒリヒリする痛みを伴う場合、腟炎や性感染症の可能性があります。日常生活に支障をきたすほどの症状は自然に改善しにくく、放置すると悪化します。

市販薬で一時的に抑えるのではなく、婦人科で診断を受け適切な治療を受けましょう。

黄色や緑色のおりものが出る場合

おりものが黄色や緑色に変化している場合、細菌や性感染症の影響が考えられます。膿のように濁っている場合は、炎症が強くなっている可能性が高いです。

この場合は自然に改善することは少なく、抗生物質など適切な治療を受ける必要があります。おりものが黄色や緑色の場合は、放置せず医療機関で検査を受けましょう。

発熱を伴う場合

おりものの異常に加え、発熱や下腹部の痛みを伴う場合は感染が広がっている可能性があります。子宮や卵管に炎症が及んでいる可能性もあるので、すぐに婦人科を受診しましょう。

重症化すると不妊の一因になるほか、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。なるべく早めの受診が必要です。

生理前のおりもののにおいに関するよくある質問

生理前のおりもののにおいに関して、よくある質問とその答えを解説します。生理前のおりもののにおいについて悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q. 生理前のおりものはどんなにおいがしますか?

生理前のおりものは、ヨーグルトのような酸っぱいにおいを感じることがあります。ホルモンバランスの変化によって腟内の細菌バランスも変化し、乳酸菌と作り出す酸が増えるのが原因です。多少においが強くても、かゆみや痛みを伴わなければ正常な範囲とされます。

ただし、魚のような生臭さや腐敗臭を感じるなど、普段と明らかに異なる場合は、感染症の可能性もあります。婦人科を受診しましょう。

Q. おりもののにおいで生理前と妊娠初期は見分けられますか?

おりもののにおいだけで生理前か妊娠初期かを判断することはできません。どちらもホルモンの影響でおりものが増え、酸っぱいにおいが強くなることがあるためです。

におい以外には、妊娠初期の場合はおりものの増加が持続的で、基礎体温が高温期のまま続くといった特徴があります。妊娠の可能性がある場合は妊娠検査薬で確認し、陽性の場合は産婦人科を受診しましょう。

生理前におりもののにおいが強くなるのは正常

生理前におりもののにおいが強くなるのは、ホルモンバランスや分泌物の増加など、自然な変化が原因となる場合が大半です。ただし、強い異臭や色の変化、かゆみなどを伴う場合は病気の可能性もあり、早めの対処が重要です。不安な症状があるときは、早めに婦人科を受診しましょう。

参考文献

1.Chen Y, Bruning E, Rubino J, Eder SE. Role of female intimate hygiene in vulvovaginal health: Global hygiene practices and product usage. Womens Health (Lond). 2017;13(3):58–67.

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7789027/

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