陰部がかゆいときに考えられる疾患

かゆみが一時的でない場合、カンジダ腟炎やトリコモナス腟炎などの疾患が隠れている可能性があります。ここでは、医療機関での診察を受けるべき疾患とその症状、原因を解説します。
カンジダ腟炎
カンジダ腟炎は、普段から腟内にいる常在菌であるカンジダが異常増殖して起こる感染症です。かゆみに加えて、おりものの性状が変わる、腫れやヒリヒリ感があるなどの症状が見られます。
特に白くポロポロしたカッテージチーズ状のおりものが特徴です。婦人科では腟洗浄や抗真菌薬の腟錠・軟膏などで治療が行われます。
トリコモナス腟炎
トリコモナス腟炎は、トリコモナス原虫によって引き起こされる性感染症で、かゆみのほか、泡状のおりものや悪臭が出ることもあります。
男性は感染しても無症状のことが多く、女性の症状から発覚するケースが一般的です。パートナー間で感染するため、カップルでの検査や治療が推奨されます。
性器ヘルペス
性器ヘルペスは、ヘルペスウイルスによって起こる感染症です。水ぶくれができ、かゆみや痛み、発熱を伴うことも。
一度感染するとウイルスは神経節に潜伏するため、完治は難しく、再発しやすいのが特徴です。特にストレスを抱えている時や免疫力が低下している時に症状が出やすくなります。
クラミジアや淋菌などの性感染症
陰部のかゆみは、クラミジアや淋菌(淋病)といった性感染症が原因である場合もあります
。初期は無症状のことも多いですが、進行すると陰部の違和感や下腹部痛、かゆみが現れます。
放置すると卵管炎や骨盤内炎症性疾患に進行することがあり、不妊の原因になることもあるので、早めの受診がポイントです。
夜にだけ陰部がかゆくなる理由

夜間の陰部のかゆみには、体調の変化や生活習慣、環境的な刺激など、さまざまな要素が関係しています。ここでは、夜にだけ陰部がかゆくなる原因を解説します。かゆみに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
寝る前の体温上昇や血流の変化
人間の体は、夜になると自然に体温が上がるようになっているもの。体温が上がると血流が豊富になり皮膚の感覚が敏感になります。そのため、昼間は気にならなかったような軽いムレやこすれが刺激となってかゆみとして感じやすくなるのです。
特にデリケートゾーンの皮膚は薄く繊細なため、体温のわずかな変化でもかゆみを感じやすいといえます。
ストレスやホルモンバランスの乱れ
精神的なストレスや生活リズムの乱れは、自律神経や女性ホルモンのバランスを大きく左右するもの。これにより肌のバリア機能が低下し、かゆみに敏感になってしまいます。
特に生理前や排卵期など、ホルモンが大きく揺らぐ時期にはかゆみが出やすくなる傾向があるので注意が必要です。夜だけかゆくなるという方は、自分の生理周期や生活習慣と照らし合わせてみると原因が見えてくるかもしれません。
残ったままの汗やムレ
日中にかいた汗やおりもの、尿などがきちんと拭き取られていないと、下着や肌に残ったままになり、雑菌の温床になってしまいます。
特に座りっぱなしの時間が長い方や、通気性の悪い衣類を着ている方は要注意です。温度や湿度が高いと雑菌が増えやすく、夜にかゆみとして現れることがあります。
下着や石けんなどによる刺激
ナイロンやポリエステルなどの化学繊維の下着、あるいはレース素材やタイトなパンツは、摩擦が起きやすく、肌への刺激となります。また、洗浄力の強いボディソープや石けんなども、必要な潤いを奪って皮膚を乾燥させ炎症の要因に。
「清潔にしようとして逆にかゆくなった」というケースも少なくないため、洗いすぎやこすりすぎには注意しましょう。
カンジダ腟炎や細菌性腟炎などの感染症にかかっている
かゆみが長期間にわたって持続する場合、カンジダ腟炎や細菌性腟炎などの感染症が原因となっていることがあります。
。これらの感染症は、免疫力の低下や抗生物質の服用、通気性の悪い下着などが引き金となって発症することがあります。
カンジダ腟炎では、白くポロポロしたカッテージチーズ状のおりものが特徴的です。一方、細菌性腟炎では、魚のような生臭いにおいが伴うことがあります。
どの診療科に相談すべき?病院選びのポイント

「婦人科に行くのはちょっと恥ずかしい…」と思ってしまうかもしれませんが、かゆみが続く場合は婦人科や皮膚科の受診がおすすめです。性感染症が疑われる場合は、性感染症専門クリニックや泌尿器科も選択肢となります。
初診時にはかゆみが始まった時期やおりものの色や量の変化、性交渉のタイミングをメモなどで控えておくとスムーズに症状を伝えられます。
気軽に相談できる窓口として、Cuepodのオンラインカウンセリングもおすすめです。陰部のかゆみやフェムケア関連など、ケアコンシェルジュがあなたの悩みをサポートします。
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すぐ受診できない時の対処方法

症状があるのにすぐ病院に行けないときは、悪化を防ぐためにセルフケアを心がけましょう。ただし、自己判断では完治しないこともあるほか、症状が悪化することもあります。そのため、あくまで対処方法として検討してください。
かゆみ止め軟膏を使用する
薬局ではかゆみ止め軟膏や、カンジダ対応の抗真菌クリームが購入できます。ただし、市販薬で一時的に症状が和らいでも、根本的な原因が解決していない場合があるため、使用はあくまで応急処置と考えて使用しましょう。
また、薬剤師が常駐している薬局では、過去に医師の診断でカンジダと診断されたことがあり、再発したカンジダの症状がある場合に限り、薬を購入できます。
刺激の少ない環境を整える
下着やパジャマはコットン素材でゆったりとしたものを選び、ムレを防ぐよう心がけましょう。また、入浴時は洗いすぎに注意し、ぬるま湯で優しく洗うことが基本です。
また、ナプキンやおりものシートを使用する場合は、雑菌の繁殖を防ぐためにもこまめに交換するようにしてください。
陰部のかゆみは早めの受診がおすすめ
陰部のかゆみは、体のさまざまな変化や外部からの刺激が重なって起こることが多いとされています。もしそのような症状が出た場合は、我慢せずに適切なケアをすることが重要です。陰部のかゆみに悩んでいる方は、早めに受診し、医師の指示を仰ぎましょう。





