出産が怖いと思っている人へ。怖いと感じる理由や怖さを和らげる方法を解説

出産が怖いと思っている人へ。怖いと感じる理由や怖さを和らげる方法を解説

最終更新日:
2025-12-03
公開日:
2025-12-03

長かった妊娠生活が終わりに近づいてくるにつれて、「出産を本当に乗り越えられるのか」と不安を抱く人も少なくありません。出産が怖いと感じるのは自然なことですが、その怖さに対してどう向き合うべきか悩む人もいるでしょう。

本記事では出産が怖いと感じる理由と、その不安を少しでも和らげる方法を解説します。

出産が怖いと感じるのは自然なこと

妊娠が分かったとき、喜びと同時に「出産が怖い」「乗り越えられるか不安」という気持ちを抱くのは自然なことです。特に初めて出産を迎える人にとっては、経験したことのない陣痛や分娩の流れが未知であり、漠然とした恐怖を感じやすい傾向にあります。

出産の経験がある人でも、出産を終えた後の育児やライフスタイルの変化をすでに経験しているからこそ、より大きな不安を抱くことにもなるでしょう。

海外でも、妊娠後期に「出産が怖い」と感じる妊婦は全体の15~20%にのぼると報告されており、同時にストレスホルモンも上昇することが分かっています1)

出産に対する恐怖心を持つことは決していけないことではありません。多くの妊婦さんが同じような不安を感じていると知っておくことで、孤独感が解消され、安心につながります。

出産が怖いと感じる主な理由

出産に対する恐怖心と聞くと、痛みをイメージする人は多いです。しかし、実際は出産が未知の体験であること、出産後の生活の変化、リスクへの不安など、複数の要因が重なっています。ここでは多くの妊婦さんが「出産が怖い」と感じる代表的な理由を紹介します。

陣痛の痛みに対する恐怖

出産に対する不安で最も多いのが、陣痛の痛みに耐えられるかという懸念です。テレビやSNS、体験談を通じて「強烈な痛みが長時間続く」というイメージを持つ人も少なくありません。なかには、「1人目で味わった出産のつらさを再度経験するのが怖い」という人もいます。

陣痛は子宮を収縮させ、体が赤ちゃんを外に押し出すための自然な働きであるため、痛みが伴います。1回の陣痛の持続時間は60秒ほどですが2)、感じ方には個人差があります。

「想像以上に痛かった」と話す人もいれば、「思っていたほどではなかった」という人もいるため、痛いというイメージが先行して恐怖を膨らませているケースも多いといえます。

未知の体験に対する不安

出産は人生において何度も経験するものではなく、多くの女性にとって数少ない大きな経験です。そのため、「いつ陣痛が始まるのか」「破水したらどうしたらいいのか」「入院中はどんな流れなのか」といった不安は尽きず、分からないことが不安の大部分を占めます。

さらに、産後の体の変化や授乳、育児の始まりなど、出産後の生活への不安を感じる人も多いでしょう。出産〜育児の経験や知識がないほど想像が膨らみ、怖いというイメージが膨らみやすくなってしまうのです。

出産時のリスクや合併症への心配

出産は赤ちゃんとようやく会える嬉しい瞬間ではありますが、同時に体への大きな負担も伴います。分娩がうまく進まない場合は帝王切開が必要になったり、会陰切開など医学的な処置が必要になることもあります。

お母さんだけでなく赤ちゃんの健康状態に影響する場合もあり、「万が一のことを考えてしまう」と不安になる女性も少なくありません。もちろん、医療が進歩した現代では出産によるリスクも軽減されていますが、合併症のリスクを知っているからこそ心配になるのも当然といえるでしょう。

環境の変化へのプレッシャー

妊娠や出産をきっかけに、女性の生活は大きく変化します。育児は24時間体制のため、「ちゃんと子どもを育てられるだろうか」「仕事や家庭との両立はできるのか」といったプレッシャーを感じる人もいるでしょう。

特にはじめての子育てでは、未知の連続で不安が強くなりやすいです。責任感の強い人ほど「母親としてしっかりしなければ」と自分自身にプレッシャーをかけてしまいやすい傾向にあります。

出産の恐怖を和らげる方法

出産の恐怖や不安を完全になくすことはできなくても、工夫次第で和らげることは可能です。ここでは、出産の恐怖を和らげるために実践できる具体的な工夫を紹介します。信頼できる人に相談したり、出産に対する正しい知識を得たり、リラックス法を身につけたりと、自分に合った方法を取り入れてみましょう。

気になることは医師や助産師に相談する

出産に対する不安を解消するには、気になることや不安なことをそのままにせず、医師や助産師に相談することです。

不安の多くは「わからないこと」から生まれます。「どんな体勢で出産するのか」「陣痛が来たらどうすればいいのか」「帝王切開や会陰切開に対する病院の方針」など、気になることを事前に確認しておきましょう。疑問や不安を解消しておくことで、出産への恐怖は和らぎます。

また、信頼できる友人や家族から出産時のエピソードを聞くことも参考になります。ただし、人によって感じ方は異なるため、あくまでも目安として受け止めることが大切です。

正しい知識を身につける

出産に対する恐怖は知らないからこそ大きくなるため、正しい知識を得ることで和らぐことがあります。たとえば、陣痛が起こる間隔は1分30秒~3分30秒で、陣痛が続く時間は通常60秒程度と、ずっと続くわけではありません2)。痛みに関する情報を知っているだけでも「ずっと痛みに耐え続けるわけではない」と安心できるでしょう。

また、出産の流れや処置、産後の体の変化などを理解しておくと、「これからどうなるのだろう」といった不安を減らすことができます。自治体や産婦人科で開催されている母親学級や説明会、イベントなどを利用し、医療機関から信頼できる情報を収集するのも安心へとつながるためおすすめです。

呼吸法やリラックス法を練習する

恐怖心や緊張は、痛みの感じ方を強めることがあります。出産前から呼吸法やリラックス法を身につけておくことで、陣痛時の痛みを和らげる効果が期待できます。

代表的な方法として知られているラマーズ法や腹式呼吸などを学び、パートナーと共有しておくと出産時に役立つかもしれません。

また、産婦人科によっては陣痛〜出産時の過ごし方を自由に決められることもあり、音楽を聴いたり、アロマを使ったりと、自分がリラックスできる方法を見つけておくと良いでしょう。

自分らしく出産を迎える準備をすることこそが、恐怖を和らげる大切なポイントです。

出産に対して前向きなイメージを持つ

出産に対する恐怖心を和らげるには、ネガティブな面だけでなくポジティブな側面に目を向けることも大切です。出産は赤ちゃんと会える特別な瞬間でもあり、大きな喜びのひとつです。

「出産後には好きなものを食べられる」「赤ちゃんを抱っこできる」といった前向きなことをイメージしておくだけでも、気持ちを切り替えられます。出産を「怖いもの」から「楽しみなもの」へとイメージを変えることで、恐怖心はぐっと軽くなり、出産との向き合い方が変わっていくでしょう。

産後のサポート体制を整える

出産と同時にその後の育児に対する不安を抱えている場合は、あらかじめ産後のサポート体制を整えておきましょう。産後ケア施設や産後ケア専門施設を利用すれば、赤ちゃんを預かってもらったり、授乳サポートを受けたりできます。

また、近年注目されている「産後ドゥーラ」と呼ばれる産後サポートの専門家に依頼すれば、家事や育児を手伝ってもらえるため、心身の負担も軽減できるでしょう。

さらに、家族やパートナーとどのように過ごすか、どのようなサポートをしてほしいかなどを話し合っておくことも重要です。出産前から助けてもらえる体制を整え、準備しておくだけでも安心できます。

妊娠中から産後までの暮らしをイメージしておくことで、「出産後に育児ができるか分からない」といった不安を減らせるでしょう。

出産が怖いと感じる人から寄せられるよくある質問

出産が怖いと感じている人から寄せられるよくある質問に回答しました。不安な方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q. 出産で一番つらいことは何ですか?

出産を経験した多くの人が「陣痛」を挙げます。陣痛は規則的にやってくる強い痛みを伴うため、心身ともに負担となるからです。

ただし、陣痛の感じ方は人によって大きく異なり、「想像していたより軽かった」という人もいます。陣痛は分娩中にずっと続くのではなく、短時間の波が繰り返されるものです。

他にも、いきむのを我慢しないといけなかったり、陣痛が始まってから生まれるまでの時間が長かったりと、精神的にも身体的にもつらいと感じることがあります。

Q. 出産の痛みに耐えられるのでしょうか?

出産の痛みに立ち向かうためには、呼吸法やマッサージ、アロマなど、自分に合ったリラックス法を取り入れることが効果的です。助産師に「痛みが怖い」と事前に伝えておくことで、分娩中のサポートを手厚くしてもらえることもあります。

また出産の痛みは、無痛分娩(和痛分娩)を選択することで軽減が可能です。ちなみに、東京都では要件を満たした人へ無痛分娩費用の助成を行っており、最大10万円を助成しています3)。それぞれのメリットやデメリットを比較したうえで、自分に合う分娩方法を選んで出産に臨みましょう。

出産の怖さは事前の対処で和らげられる

本記事では出産が怖いと感じる理由や恐怖を和らげる方法を解説しました。待望の赤ちゃんに会える感動的な瞬間ではあるものの、出産が怖いという妊婦さんは多いです。

しかし、事前に不安を解消しておくことで少しでも怖さを和らげられます。本記事を参考に、医師や助産師、パートナーと解決策を見つけてみてください。

参考文献

  1. 春名亜紀. 妊娠中の母体ストレスと出生児の発達との関連. 公益社団法人日本助産師会; 2021.
    https://www.jyosan.jp/uploads/files/award/jam_itakukenkyu_haruna.pdf
  1. 日本産婦人科医会. スタートアップ3(胎児が健全である証拠). 日本産婦人科医会; 2024.
    https://www.jaog.or.jp/lecture/3-%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97%EF%BC%93%EF%BC%88%E8%83%8E%E5%85%90%E3%81%8C%E5%81%A5%E5%85%A8%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E8%A8%BC%E6%8B%A0%EF%BC%89/
  2. 東京都福祉局. 無痛分娩に関する支援制度. 東京都福祉局; 2024.https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/mutsubunben/subsidy

ポップアップ/別タブ

同じタブ

Cuepodのオンラインカウンセリングを試してみませんか?

関連記事

ホルモンとカラダの知識
フェムケアとは?効果や今日からできるおすすめの方法も解説
ホルモンとカラダの知識
生理前におりものが減ると妊娠の可能性あり?妊娠初期のおりものの特徴を解説
ホルモンとカラダの知識
生理じゃないのに子宮が痛いのはなぜ?考えられる原因と受診の目安を解説
ホルモンとカラダの知識
切迫早産の入院基準や期間を教えて。兆候や入院時の気分転換法も紹介
ホルモンとカラダの知識
妊娠初期に眠気が強くなるのはなぜ?3つの理由と対処法を解説
同じカテゴリーの記事一覧

同じシリーズの連載記事

No items found.