生理じゃないのに子宮が痛いのはなぜ?考えられる原因と受診の目安を解説

生理じゃないのに子宮が痛いのはなぜ?考えられる原因と受診の目安を解説

最終更新日:
2025-11-28
公開日:
2025-11-28

「生理じゃないのに子宮が痛む」「なんとなく下腹部が重い」といった症状は多くの女性が経験します。子宮が痛いのには婦人科系の病気が関わっている可能性もあります。本記事では、女性の下腹部に鈍痛が続くときに考えられる原因や病気、受診を検討すべきサインについて解説します。

生理じゃないのに子宮に痛みが続く原因とは?

生理じゃないのに子宮に痛みが続くとき、原因が気になる方も多いでしょう。下腹部の鈍痛の原因は、ホルモンの変化や排卵に伴う一時的な痛みから、冷えやストレスによる血流の滞り、さらには消化器系の不調までさまざまな要因が考えられます。

ホルモンバランスの変化

女性は生理周期に伴ってホルモンが大きく変動し、その影響で子宮に痛みを感じることがあります。さらに生理前は月経前症候群(PMS)として、下腹部の張り、腹痛などの症状がみられたり、黄体ホルモンの作用で水分を溜め込みやすくなり、むくみや張り感につながることも。

生理周期ごとの変化による一時的なものが多いですが、痛みが強いときは別の病気の可能性もあるため注意が必要です。

排卵痛

排卵期(次の生理予定日の約2週間前)に子宮の片側が痛むとき、「排卵痛」の可能性があります。排卵痛とは、卵子が卵巣から放出される際に、卵巣の膜が破れることで生じると考えられています1)

通常は数日でおさまりますが、まれに卵巣の血管が破れてお腹の中に出血が起こることがあり、下腹部の強い痛みや圧痛、吐き気や下痢などの症状を伴うことがあります。出血量が多い場合は、入院による安静や手術が必要になることもあります。

普段より出血が多い、長く続く、痛みが強いといった場合は、早めに婦人科を受診しましょう。

冷えやストレスによる血行不良

生理周期によるホルモンバランスの変化や、冷え、ストレスなどは、自律神経の働きに影響を及ぼす要因と言われています。

自律神経のバランスが乱れると、血流の変化や腸の動きの不調が起こりやすくなり、下腹部の痛みや下痢、便秘などの症状があらわれることも。

さらに、ストレスによって筋肉が緊張し、血流が悪くなることで、腹部の違和感や痛みを感じやすくなる場合もあります。

消化器系の不調

便秘や下痢、ガスのたまりなど、消化器系の不調でも子宮付近に痛みを感じることがあります。腸は子宮や卵巣と近い位置にあるため、痛みの場所が似ていて区別がつきにくいのが特徴です。

特に便秘が続くと、下腹部全体に違和感を感じやすくなります。

生理じゃないのに子宮が痛む女性に多い病気

生理じゃないのに子宮の痛みが長引いたり、生理周期に関係なく繰り返されたりする場合には、婦人科系の病気が関わっている可能性もあります。

子宮内膜症

子宮内膜症は、本来であれば子宮の内側にあるべき内膜組織や似た組織が、卵巣や腹膜など子宮以外の場所(異所性)に入り込み、発育してしまう病気です。卵巣にできた内膜症は、チョコレート嚢腫とも言われ卵巣嚢腫の一種です。生理のたびにその組織が出血と炎症を繰り返し、強い生理痛や下腹部痛を引き起こします。

進行すると生理の時以外にも下腹部や腰に痛みを感じるようになります。これは癒着(体の中で臓器や組織がくっついてしまう状態のこと)によって臓器の動きが妨げられることが原因です。子宮と腸が癒着すると、便秘や下痢、排便時の痛みなどを引き起こすため、日常生活の質を大きく低下させかねません。

また、子宮と卵巣、卵管などが癒着すると、卵管が塞がってしまい、不妊に繋がる場合もあります。子宮内膜症は、生理を重ねるごとに悪化していくため、早めの受診が重要です。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、成人女性によく見られる病気のひとつです。子宮筋腫のある部位、大きさや個数などによって症状の程度はさまざまです。子宮筋腫が大きくなると、子宮のまわりにある臓器を圧迫してしまうことがあります。

その影響で、頻尿(トイレが近くなる)・排尿しにくい・便秘・腰の痛みなどの不快な症状を引き起こすことがあります。また、さらに、妊娠に影響するケースもあり、不妊の原因となったり、流産や早産のリスクが高まることも知られています。

子宮筋腫は良性であるため、すぐに治療が必要とは限りません。子宮筋腫のサイズが小さかったり、症状が軽かったりする場合は、定期的に検診を受けて様子をみながら過ごすこともあります。定期的な検診を受けて経過観察を続けることが大切です。ただし、生理の量が多い、痛みが強いなど、日常生活に影響が出ている場合は、医師と相談しましょう。

卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)

卵巣にできた腫瘍を卵巣腫瘍といい、のう胞という内容物の入った袋状の形をしたものを卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)と呼びます。多くは良性であり、子宮内膜が入り込むと子宮内膜症、液体や脂肪などがたまって袋状になると皮様嚢腫(ひようのうしゅ)と言います。内膜症は前述の通り小さくても症状が出ますが、皮様嚢腫は小さいうちはほとんど症状がないことも多く、大きくなると下腹部の張りや痛み、腰痛が出てくることがあります。

大きくなると嚢腫が破裂したり、ねじれて強い痛みを伴う卵巣嚢腫茎捻転(らんそうのうしゅけいねんてん)が起こり、急激な腹痛を認めることがあります。その場合は緊急手術が必要となるため、急激な強い痛みを感じたらすぐに受診することが重要です。

骨盤内炎症性疾患

骨盤内炎症性疾患は、子宮や卵管、卵巣などに細菌が入り、炎症を起こす病気のことです。

子宮内膜炎や卵管炎、卵巣に膿がたまる病気(卵管卵巣膿瘍)などが含まれます2)。主な症状は下腹部の痛みや発熱で、片側だけに痛みを感じる場合もあります。

そのほか、不正出血、悪臭のあるおりもの、性交時や排尿時の痛みがみられることもあります。

炎症が長引いたり、再発を繰り返したりすると、卵管が詰まるなどして不妊症の原因になる場合もあるため、下腹部の痛みやおりものの変化など、気になる症状がある場合は早めに婦人科を受診しましょう。

すぐにできる子宮の痛みへの対処法

軽い痛みであれば、自分で改善できることもあります。ここでは、すぐにできる対処法を紹介します。

体を温めて血行を良くする

体の冷えは血流を滞らせ、痛みを悪化させる一因となることがあります。下腹部や腰をカイロや湯たんぽで温めると、血流が改善され、痛みが落ち着くことも。

また、38〜40度ほどのぬるめのお湯にゆっくり浸かると血行が良くなるだけでなく、リラックス効果も得られます。

適度な運動やストレッチをする

軽い運動は血流を促します。ウォーキングやストレッチ、ヨガは運動習慣がなくても始めやすく、おすすめです。

さらに、体を動かすことで自律神経のバランスも整いやすくなり、ストレスの緩和にも繋がります。

ストレスを溜めない生活を心がける

ストレスは自律神経の働きを乱し、血流やホルモン分泌に影響を与えて子宮の痛みを悪化させることがあります。十分な睡眠を確保し、好きな趣味やリラックスできる時間を持つことが重要です。

深呼吸や軽いストレッチ、アロマテラピーなども心身を落ち着けるのに効果的。自分に合った方法で、ストレス解消をしましょう。

受診するべき子宮の痛みの目安

生理じゃないのに子宮への痛みが長く続く場合や、耐えられないほどの痛みがある場合は、医療機関を受診することが大切です。ここでは、受診するべき下腹部痛の目安を解説するので、ぜひチェックしてみてください。

痛みが長期間続く場合

子宮の痛みが数日でおさまらず、数週間から1か月以上も続く場合は注意が必要です。特に、痛みが日常生活に支障をきたすほど強い場合や、仕事や睡眠に影響するほど慢性化している場合には、婦人科系の疾患や消化器系の異常が関わっている可能性があります。

自己判断で放置すると、症状が強くなることや病気が悪化してしまう可能性もあるため、放置せず、早めに婦人科を受診しましょう。

多量の出血や不正出血を伴う場合

生理以外の時期に出血がある、出血量がいつもより多い、茶色やピンク色のおりものが続く場合は、子宮筋腫・子宮内膜ポリープ・子宮頚管ポリープやがんなどの子宮や卵巣の病気、排卵やホルモンの異常、感染などが原因で起こることがあります。

出血といっても、赤色だけでなく、時間が経つと茶色っぽく変化したり、少量の場合は黄色やピンク色に見えることもあります。

このような出血がある場合には、病気が隠れていることもあるため、早めに婦人科を受診しましょう。

発熱や悪臭のあるおりものを伴う場合

おりものの量が増える、においが強くなる、膿のような色になるなどのおりものの異常は、婦人科でよく見られる症状のひとつです。多くの場合は、細菌や真菌、原虫などの感染が原因で起こります2)

子宮の痛みに加えておりものの変化、腹痛、発熱がある場合、子宮や卵巣などの炎症など骨盤内炎症性疾患の可能性があります。これらの病気は放置すると感染が広がり、卵管の閉塞や不妊の原因になることも。

おりものの色や量に普段と違いがあるときは、自己判断せず速やかに婦人科を受診することが大切です。

生理じゃないのに子宮が痛いことに関する質問

子宮の痛みに関するよくある質問とその答えを解説します。下腹部の鈍痛に悩まされている方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q. 生理じゃないのに子宮が痛いのはなぜですか?

排卵痛や腸の不調、冷えやストレスによる血行不良などが考えられます。

また、子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣嚢腫などの病気が原因の場合もあるので、生理周期に関係なく痛みが続く場合は、早めに受診しましょう。

Q. 女性の子宮の痛みと張りの原因は?

子宮の痛みと張りは、生理前後のホルモン変化、排卵期の影響、腸の不調、冷えによる血行不良などが原因です。

婦人科系疾患が隠れている場合もあるため、長引く症状や強い痛みを伴うときは医療機関を受診しましょう。

Q. 生理じゃないのに生理痛のような痛みがある場合、何科を受診すれば?

生理以外で生理痛のような下腹部の痛みを感じた場合、まずは婦人科を受診しましょう。生理痛とは違う下腹部痛の場合は、腸や膀胱に炎症がある場合があるので、内科を受診しましょう。

Q. 子宮の痛みはストレスが原因ですか?

ストレスが子宮の痛みの症状を悪化させることがありますが、子宮の痛みの原因は一つではなく、ホルモンの変化や子宮・卵巣などの疾患が関係している場合もあります。

ストレスのせいだと思い込まず、痛みが強い場合や長く続く場合は、早めに婦人科を受診することが大切です。

生理じゃないのに子宮が痛い場合は早めに受診

生理じゃないのに痛みが続く原因は、生理周期や排卵による自然な変化から、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気までさまざま。軽度の場合は体を温める、生活リズムを整えるなどセルフケアで和らぐこともありますが、痛みが長引いたり他の症状を伴ったりする場合は婦人科を受診しましょう。

参考文献

1)日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会. 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023.

https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2023.pdf

2)桑原慶充・松村謙臣ほか(編).フローチャートでわかる婦人科外来診療パーフェクトブック.金原出版株式会社.2024

3)日本消化管学会.便通異常症診療ガイドライン2023 慢性便秘症.

https://minds.jcqhc.or.jp/common/wp-content/plugins/pdfjs-viewer-shortcode/pdfjs/web/viewer.php?file=https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00812.pdf&dButton=false&pButton=false&oButton=false&sButton=true#zoom=auto&pagemode=none&_wpnonce=3b871a512b

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