「妊活中にお酒を飲むと妊娠に影響があるの?」
「男性も飲まないほうがよい?」
妊活中は女性も男性も適量であれば、お酒を飲んでも問題ありません。しかし、飲み過ぎると妊娠率や胎児の成長に悪影響をもたらす恐れがあります。
そこで本記事では、妊活中の方に向けて以下を解説します。
- お酒を適量にすべき理由
- お酒の量を減らせない場合の対応方法
- 男性もお酒を適量にすべき理由
- お酒を飲む際の5つの注意点
- お酒以外で控えるべき飲み物
妊娠中の飲酒が胎児に与える影響についても解説しています。妊活中のお酒の付き合い方に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
妊活中はお酒を適量にすべき理由
妊活中は適量であればお酒を飲んでも問題はないとされています。しかし、妊活中に中等量以上のお酒を飲むと、妊娠率の低下のほか、妊娠後の胎児の成長遅延などを引き起こす恐れがあるという報告があります。
徹底的に禁酒する必要はありませんが、飲み過ぎないように注意してください。特に、妊娠に気づかず飲酒してしまう恐れもあるため、妊娠の可能性がある時期は飲酒を控えたほうが良いでしょう。
また、妊娠中の飲酒は、胎児性アルコール症候群を引き起こす危険性があるため控える必要があります。妊活中から節度を持った飲酒を意識し、妊娠後にお酒を控えられる習慣をつけておきましょう。
妊活中にお酒の量を減らせない場合の対応方法
妊活中に「お酒を飲み過ぎてしまう」という場合は、アルコール依存症に陥っている可能性があります。以下の表を参考にして、アルコール依存症の兆候がないかをチェックしましょう。
合計点が0点は正常、1〜2点は要注意です。ただし6番のみ該当の場合は問題ありません。3点以上の場合はアルコール依存症の疑いがあるため、アルコール専門の医療機関に相談しましょう。
妊活中にすでにお酒が手放せない状態だと、妊娠が判明した後や、出産・授乳期にも飲酒をやめるのが難しくなる可能性があります。胎児への影響や授乳中の赤ちゃんへのリスクを考えると、妊娠前の段階からアルコールとの付き合い方を見直しておくことがとても大切です。
妊活中は男性もお酒を適量にすべき理由
適量以上の飲酒をすると、男性の精子の質を低下させる恐れがあります。具体的には、精子に以下のような影響を与える恐れがあると報告されています。
- 濃度の低下
- 運動能力の低下
- 活力の低下
- 正常な形の割合の低下
精子の質が悪くなると妊娠率も低下します。妊活中は男性も過度な飲酒を控えたほうがよいでしょう。
妊活中にお酒を飲む際の5つの注意点
妊活中は、いつ妊娠がわかってもおかしくない大切な時期。
「少しくらいなら…」と感じるお酒も、妊娠初期への影響や妊娠後のライフスタイルを考えると、付き合い方を見直しておきたいところです。
ここでは、将来の妊娠を見据えて、妊活中から意識しておきたい「お酒との付き合い方のポイント」を5つご紹介します。
1.適量にする
妊活中にお酒を飲み過ぎると、妊娠や胎児に悪影響を与える恐れがあるため、飲み過ぎないようにしてください。女性は男性よりもアルコールの影響を受けやすいため、1日に純アルコール量10gを超えないようにしましょう。純アルコール量10gの目安は以下の通りです。
なお、妊娠中に1日の純アルコール量50gを超えると、高い頻度で胎児性アルコール症候群を引き起こす危険性があるため注意してください。
(出典:厚生労働省 健康日本21(アルコール)、厚生労働省 -たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう-)
2.糖質が低いお酒にする
糖質が多いお酒は体重増加を招きやすいです。過体重は流産や早産のリスクを高めるほか、妊娠高血圧症候群も発症しやすくなり、胎児の発達に悪影響を与える危険性があります。
さらに母体の過体重は、胎児を過剰に成長させて巨大児のリスクを高めます。巨大児は以下のような分娩時のリスクを高める原因になるため注意が必要です。
妊活中から糖質を控えて体重増加を予防しましょう。
3.亜鉛を摂取する
亜鉛不足は妊娠率低下と関連する可能性があると報告されています。アルコールは体に吸収される亜鉛の量を減少させて、尿中に排出させる量を増加させてしまい、亜鉛不足につながる恐れがあります。
亜鉛不足は男性にも影響があり、精子の減少や精巣萎縮を引き起こす恐れがあります。お酒を飲む際は、以下を参考にして、亜鉛を豊富に含む食品も摂取しましょう。
4.深夜の飲酒は控える
深夜の飲酒は睡眠の質を低下させて、睡眠不足によるストレスを招きやすくなります。女性ホルモンの分泌をコントロールする脳の視床下部はストレスの影響を受けやすいです。
ストレスにより視床下部の働きが乱れると以下のようなことが起きます。
- 女性ホルモンの分泌が乱れホルモンバランスも崩れる
- ホルモンバランスが崩れることで月経周期も乱れる
月経周期の乱れは不妊につながる恐れがあります。深夜の飲酒は控えて規則正しい生活を心がけましょう。
5.高カロリーなおつまみは控える
お酒のおつまみの種類によっては肥満の原因になります。高カロリーな揚げ物や炒め物、スナック菓子などは控えるようにしてください。おつまみも以下のような野菜を中心にしたものにするとよいでしょう。
お酒以外で妊活中に控えるべき飲み物
妊活中は、お酒以外にも摂取に注意したい飲み物があります。普段何気なく口にしているものでも、成分によっては妊娠の成立や胎児の健康に影響を及ぼす可能性があります。ここでは、妊活中に控えるべき飲み物について、代表的な例とその理由を解説します。
1.カフェインを含む飲料
米国生殖医学会によると、1日500mg(コーヒーの場合は1日5杯ほど)を超えるカフェインの大量摂取は妊娠のしやすさに悪影響を与えるという報告があります。特に妊娠中は胎児の成長に悪影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。
妊娠前または妊娠中の適度なカフェイン摂取(1日1〜2杯のコーヒー)は、生殖能力に明らかな悪影響を及ぼさないという報告があります。以下の表を参考にしてカフェインの量を調整しましょう。
(出典:AMERICAN SOCIETY FOR REPRODUCTIVE MEDICINE Optimizing natural fertility: a committee opinion (2022)、食品安全委員会 お母さんになるあなたと周りの人たちへ)
2.糖分の多い飲料
糖分の多い飲料は、肥満の原因になるため妊活中にたくさん飲むのは控えましょう。糖分の多い飲料を過度に飲む妊婦は、生まれてくる子どもが肥満になりやすいという報告もあります。
普段何気なく飲んでいる清涼飲料水の種類によっては、多量の糖分が含まれている場合があります。以下の表を参考にして、妊活中・妊娠中は糖分の多い飲料を飲み過ぎないようにしてください。
(出典:厚生労働省 取り過ぎに注意!自分の飲んでいる飲み物からとる糖分の目安)
3.冷たい飲み物
妊活中は冷たい飲み物はできるだけ控えることがおすすめです。体の冷えは妊娠のしやすさに影響を与える恐れがあるため、特に冷え症の方は体を冷やさないようにしましょう。
体を温める方法の一例は以下の通りです。
- 軽いストレッチやウォーキングをする
- 湯船につかる
- 生姜湯など体を温める飲み物を飲む
- レッグウォーマーやストールなど足首や首元を暖める衣服を着用する
- 室内を適切な室温にする
妊活中におけるお酒の席の断り方
妊活中はお酒は控えたいと考えていても、職場の付き合いなどに誘われることもあるでしょう。ここでは、以下のような妊活中におけるお酒の席の断り方を解説します。
- 妊活中であることを伝える
- 体調不良を理由にする
- 体のケアを理由にする
しつこいお酒のお誘いはハラスメントに該当する場合もあります。しかし「ハラスメントです」と強く訴えてしまうと、その後の関係性に支障が出る場合があります。できるだけ職場関係を円滑に進められる方法で断りましょう。
1.妊活中であることを伝える
多くの場合は「今は妊活中なのでお酒は控えています」と正直に伝えれば理解してくれるでしょう。ただ中には「少しぐらい大丈夫でしょう?」と理解をしてもらえない場合もあります。その際は、以下のように伝えると良いでしょう。
- 「担当の医師からお酒は控えるように言われています」
- 「アルコールはホルモンバランスを乱すこともありますので控えています」
- 「まだ気づいていないだけで妊娠の可能性もあるので控えています」
相手が理解してくれたら「ご理解いただきありがとうございます」など、相手に配慮する言葉を伝えることも大切です。
2.体調不良を理由にする
もともと、貧血や花粉症など持病がある場合は、体調不良を理由にする方法もあります。例えば、以下のように伝えると良いでしょう。
- 「すみません、今日は体の調子が良くなくて」
- 「医師からアルコールを控えるように言われておりまして」
医療機関からの指示であることを一言伝えると、説得力が高まります。ただし、感染症や発熱などは、相手を不安にさせてしまうため、事実がないのに理由にするのは控えましょう。
3.体のケアを理由にする
ライトに断りたい方は、以下のように体のケアを理由にして断る方法もあります。
- 「パーソナルジムで指導を受けているんです」
- 「ダイエット中なんです」
- 「肌荒れを改善中なので」
「たまにはいいでしょ」と誘われたときは「今は体調管理に集中しているので、見守っていてください」と、前向きに明るく伝えるとよいでしょう。
妊娠中にお酒を飲むことで、胎児へ与える影響
妊活中は、いつ妊娠がわかってもおかしくない時期です。だからこそ、妊娠が判明した後のことも見据えて、あらかじめ正しい知識を身につけておきましょう。
1.妊娠期|胎児性アルコール症候群を引き起こす
妊娠中にお酒を飲むと、胎児性アルコール症候群を引き起こす危険性があります。具体的な症状は以下の通りです。
胎児性アルコール症候群を防ぐには、妊娠期間中の禁酒が唯一の方法です。アルコールが胎児に与える悪影響は、妊娠のどの時期でも発生する可能性があります。妊娠中にお酒を飲まないために、妊活中から節度のある飲酒習慣を身につけましょう。
2.授乳期|母乳の分泌量が低下する
授乳期に長期間または大量のお酒を飲むと、母乳の分泌量が減少する恐れがあります。アルコールは、乳児の吸てつ刺激によるプロラクチンの分泌量を低下させるためです。母乳の分泌量が減少した結果、乳児の成長が遅れたという報告もあります。
また、アルコールは母乳を通して乳児に移行してしまいます。乳児は肝臓が未発達でアルコールを分解できないため、脳障害や発育の遅れなどを引き起こす可能性があります。授乳中は飲酒を控えましょう。
まとめ
妊活中の飲酒は適量であれば問題ありません。ただし、中等量以上のお酒を飲むと、妊娠率の低下のほか、妊娠後の胎児の成長遅延などを引き起こすリスクがあります。女性が妊活中にお酒を飲むのであれば、純アルコール1日10g以内とするべきです。
また、妊娠に気づかず飲酒してしまう恐れもあるため、妊娠の可能性がある時期はお酒を飲むのは控えたほうが良いでしょう。妊娠中に飲酒を続けると、胎児性アルコール症候群を引き起こす危険性があるため妊娠が確定したら飲酒は控えてください。妊娠中にお酒を控えるためにも、妊娠前から節度ある飲酒ができる習慣を身につけておきましょう。
とはいえ「適量」の判断方法などに、不安や迷いを感じる方も多いかもしれません。
そんなときは、ぜひケアコーディネーターにご相談ください。
お酒との向き合い方を含めて、あなたの体調やライフスタイルに合ったアドバイスをお届けします。






