病院選びもメンタルケアも。自分に合う方法を大切にした「私の」妊活(後編)

不妊治療を始める前の、“プレ妊活”状態で知っておきたかったこと。妊活仲間との交流、自分に合う病院探し、妊活とうまく付き合うコツについてお話を聞きました。

病院選びもメンタルケアも。自分に合う方法を大切にした「私の」妊活(後編)

最終更新日:
2026-01-19
公開日:
2026-01-19

不妊治療をはじめる時、ほとんどがその“初心者”です。この難しいはじめての経験に向き合っていると、クリニックでの治療でもなく、友達からの励ましでもなく「私の場合はこうだった」「前にこれを知っていることができたら」という経験者のリアルなアドバイスが欲しい瞬間があるはずです。名前は仮名、顔も明かさないからこそ話せる、一足先に不妊治療をした方からのタイムカプセルのような経験談。全てが当てはまらなくても、不妊治療をはじめる前、あるいは真っ只中のひとつのガイドに役立ててください。

vol.3でご登場いただくのは、31歳から33歳まで不妊治療を行い、女の子を妊娠 ・出産したCさん。現在は二拠点を行き来しながら仕事をこなし、子どもの受験勉強に奮闘しています。

前編では、Cさんが不妊治療を意識しはじめたきっかけや、パートナーとの向き合い方、病院選びから休養期間に至るまでの経緯についてお話しいただきました。後編では、転院先での治療内容やパートナーの意識の変化、人工授精による妊娠・出産のお話を聞きます。

新たな病院で不妊学級に参加。パートナーの理解が一気に深まった

不妊治療をはじめるにあたり、まずは自宅近くの病院で初期検査を受けたCさん。しかし、医師とのコミュニケーションに不安があったことから、休養期間を経て心機一転、新たな病院を探します。

「転院先を探すのに参考にしたのは、女性向けのコミュニティサイトでした。サイト内の匿名掲示板では、不妊治療を経て妊娠・出産を経験した人や、私と同じように不妊治療中の人が集まり、情報交換をしていました。

掲示板の書き込みで医師や病院の評判をチェックしつつ、情報を集めていると、『パートナーの理解がなかなか得られないときは、不妊学級(※)を実施している病院を選ぶとよいかも』というアドバイスを見かけたのです。『なるほど!』と思い、転院先には不妊学級のある病院を選びました。

転院先の病院は当時の勤務先に近く、仕事とのバランスをとりながら、時間給や半休を使って通いました。都心部で病院のまわりにはいろいろなお店があり、通院とあわせてランチで美味しいものを食べるのがちょっとした楽しみでした。1軒目の病院は自宅近くを選びましたが、結果として職場近くの病院のほうが私は継続して通いやすかったです」

Cさんは掲示板で情報収集を行い、より通いやすい病院を転院先に選びました。

選ぶ際のポイントになった「不妊学級」では、不妊治療に悩むカップルに向け、妊娠のしくみから検査・治療の内容までを医師や専門家が詳しく解説します。

Cさんのパートナーは、不妊治療に協力的ではあるものの、早くから治療をはじめることには懐疑的でした。実際に不妊学級に参加して、パートナーの意識に変化はあったのでしょうか。

「不妊学級では、専門の医師による約1時間の説明会が実施されました。内容は、女性の身体や妊娠のしくみについて。年齢とともに卵子の質が変化し、妊娠しやすさにも影響が出てくることや、妊娠に至ったとしても年齢とともに流産の確率が高まることなど、データをもとに分かりやすく説明してくださいました。

私も日頃からパートナーに話してはいたのですが、専門医から統計データをまじえて詳しく解説されたことで説得力が増したようでした。不妊学級に参加した直後から、『本気で不妊治療に取り組まなければ!』と、パートナーの意識は劇的に変化しました」

※不妊学級とは、不妊治療を行うクリニックなどで開催される、妊娠や不妊治療に関する情報提供や悩みを共有する場のこと。

★自宅近くよりも職場近くの病院のほうが、私は通いやすかった。また、自分なりの楽しみを作ることで前向きに通院することができた。

★不妊学級で専門の医師から詳しく説明を受けることで、パートナーの意識が大きく変化した。病院選びのポイントにもなり、参加してよかった。

不安や悩みに寄り添ってくれた、病院と妊活仲間たち

パートナーとともに気持ちを新たに不妊治療を再開したCさん。新たな病院では、検査後すぐに人工授精での治療を開始しました。

「人工授精を行う前に、私はクロミフェン製剤の服用と、病院での排卵誘発剤の注射を併用していました。初期の卵管造影検査など、私はこれまでの不妊治療で強い痛みを感じるようなことはなかったのですが、クロミフェン製剤を飲みはじめてから副作用で胃腸の調子が悪くなり、仕事にも支障が出てしまうほどでした。

あまりの辛さに病院での診察で状況をお伝えしたところ、『すぐに薬を変えましょう!』と迅速に対応してくださいました。前の病院だったら、高圧的な医師に萎縮してしまい、辛くても我慢していたと思います。けれど、新たな病院は悩みや不安に寄り添いながら丁寧に治療を進めてくれているのを感じ、体の不調についても気軽に相談することができました」

その後、Cさんは治療を進めていきましたが、1回目、2回目の人工授精では着床に至らず、少しずつ「妊娠できなかったら…」という不安な気持ちが募っていきました。そんなCさんの心を支えてくれたのは、女性向けのコミュニティサイトと仕事で出会った妊活仲間たちでした。

「病院探しの際に活用した女性向けのコミュニティサイトには、テーマごとにさまざまな交流の場があり、私も不妊治療で感じた不安な気持ちや悩みを書き込んでいました。匿名掲示板で出会う人たちは、顔も知らない人たちです。しかし、同じ悩みを抱える同志として、お互いを励まし合っていました。

また、私は幸いにも仕事での出会いから妊活仲間が増え、そこでもお互いの近況報告をしたり、情報交換をしたりするなど、不妊治療の相談をしていました。オンラインとオフラインの双方に頼れる妊活仲間がいたことが、私にとっては何よりのメンタルケアになっていたと思います」

★体の不調や悩みを共有しやすい病院を見つけるのも、不妊治療を円滑に進めるひとつの近道。薬が合わないときは、早めに医師に相談をする。

★オンライン・オフラインの両方で相談できる場があり、バランスよくメンタルケアができた。

妊娠・出産に向け、自分の気持ちを大事にしてよかった

Cさんは、3回目の人工授精で着床に至り、妊娠しました。喜びを噛みしめながらも、当時は仕事での出張が多く、妊娠が発覚した直後にも海外出張が控えていました。

「生理が遅れているなと思い、妊娠検査薬で確認をしたところ、陽性反応が出ました。しかし、数日後には海外での仕事があり、どうしてもキャンセルすることができなかったのです。出発前の空港でもう一度、妊娠検査薬を使い、そこでも陽性反応が出ました。妊娠した喜びはもちろんあったのですが、『とにかく無事に出張を終えて帰国しなければ!』と当時はハラハラしていました」

帰国後すぐに病院で診察を受け、改めて妊娠を確認したCさん。妊娠から出産に至るまでは、どのように過ごしていたのでしょうか。

「妊娠初期は胎動を自覚できず、流産の可能性もあるので、『本当にお腹に子どもがいるのかな』と毎日ドキドキしていました。病院での妊婦健診は1ヶ月ごとで、その間お腹の子どもが無事なのかとても心配でした。そのため、自宅で使える胎児心音聴診器を購入し、それを使って心音を確認してから眠るのが日課になっていました。

振り返ってみると、妊娠が分かってから出産までの時期は特に神経質になっていたように思います。満員電車が怖かったり、風邪を引かないように徹底的に予防をしたり、安定期に入った後もずっと緊張していました。

そんな気持ちを少しでも和らげるために、胎児心音聴診器を購入したほかにも、民間療法を試してみたり、逆子治療の鍼灸院に通ったりするなど、とにかくあらゆることをしていました。今思えば、『何をしていたんだろう』と思うようなこともありますが、それでも妊娠・出産に向け、『自分はこうありたい、こうしたい』という気持ちは大事にしてよかったと思います。

病院選びもメンタルケアも、妊娠生活も、自分に合った方法で前に進めたことが私の妊活でした」

現在、産まれた女の子は小学6年生になりました。不妊治療を振り返り、Cさんは最後にこう語りました。


※胎児心音聴診器は使用方法や妊娠週数、胎児や胎盤の位置などによっては、赤ちゃんが元気な状態であっても心音がうまく聞こえないことがあります。そのため、異常の有無を判断する目的ではなく、妊娠中の不安を和らげるための精神的な支えのひとつとして使用することが大切です。

「お話をしながら、当時のいろいろなことを思い出しました。産まれた子は、今は中学受験を控えています。母親として、ときに厳しい態度で接してしまい、苛立つことも多々ありますが、こんなに頑張って出産に至ったのだから、子どもに対して優しくいようと思います」

★妊娠が分かってから出産に至るまでの時期に神経質になり、その緊張を和らげるためにあらゆることを試してみた。

★自分の気持ちを大事にすることで、自分に合った方法を選びながら不妊治療を進めることができた。

取材/ 出川 光 文/日比 佳代子

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