出産が近い時期である臨月は、出産や赤ちゃんに会える日が目前に迫った大切な時期です。一方で、体調の変化も大きいため、出産に備えて注意すべき行動は知っておきましょう。
本記事では、安心して出産を迎えるための臨月の過ごし方を状況別にご紹介します。やっていいことやNG行動についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
臨月とは
臨月とは、出産前の約1か月間を指す言葉として使われています。一般的には、妊娠36~39週6日までの期間が該当します1)。
なお、医学用語では妊娠37週0日〜41週6日に出産することを「正期産」と呼びます。「臨月」は医学用語ではなく一般的な表現ですが、正期産の時期とほぼ重なります。
臨月におすすめしたい過ごし方
臨月は出産を間近に控え、「もうすぐ赤ちゃんにあえる時期」です。体調が大きく変化するタイミングでもあるため、臨月の過ごし方はこれまで以上にさまざまな点に気を配る必要があります。
軽いウォーキングやストレッチをする
臨月には激しい運動は避けつつ、主治医から特別な安静の指示が出ていない場合には、無理のない範囲で軽いウォーキングを取り入れるのがおすすめです。歩くことで血流がよくなり、むくみや便秘の改善にもつながります。
日本助産師学会誌でも、妊娠中の骨盤底筋トレーニングの方法に全身の筋肉運動やストレッチが推奨されています。
また、出産に向けて体力を保つサポートにもなります。自然の景色を楽しみながら歩くと、気分転換にも効果的です。
昼寝や休養をしっかりとる
お腹が大きくなることで夜は眠りが浅くなりやすい時期です。無理をせず、昼間に30分ほどの短時間の睡眠を取り入れることで体力回復につながります2)。
研究でも、妊娠中の睡眠は臨月に近づくほど短くなり、睡眠の質が低下すると不安や気分の落ち込みにつながりやすいことが報告されています。
疲れを溜めすぎないことを第一に考えて過ごしましょう。
必要な栄養を摂取する
臨月はお腹が大きくなり、内臓を圧迫して吐き気や胃もたれ、食欲不振などの症状が出る場合があります。通常通りの量の食事を取ることが難しくなって栄養不足になると、母子ともに体調へ影響を及ぼす可能性もあります。
そのためできるだけ1日に必要な栄養とカロリーを摂取するよう心がけることが大切です。3食取るのが難しいときは、1日数回に分けて食事をしてみましょう3)。
出産に向けた準備や読書を楽しむ
臨月は出産に備えて心を整える大切な時期です。出産や育児に関する本を読んだり、必要なグッズを整理したりすると安心感が高まります。
手帳や日記に気持ちを書き留めるのもおすすめです。静かに過ごしながら未来をイメージすることで、不安が和らぎ、出産への前向きな気持ちにつながることもあります。
臨月での避けるべき過ごし方
一方で、臨月には避けた方がよい行動もあります。安全に出産を迎えるために、以下の点に注意しましょう。
激しい運動や無理な体勢
臨月は関節が緩みやすく、転倒やけがのリスクが高まります。ランニングやジャンプなどの激しい運動、無理なストレッチは避けましょう。
長時間同じ姿勢を続けることも血流を妨げてしまい、体がつらくなってしまう原因となります。特に睡眠中は、体に負担をかけないためにクッションや毛布を活用するのがおすすめです。
睡眠不足や過度な夜更かし
お腹が大きくなり眠りづらい時期ですが、夜更かしや睡眠不足は体力の低下につながります。出産に向けてエネルギーを蓄えるためにも、できるだけ早めに休む習慣を心がけましょう。
スマホやテレビを長時間見続けるのも眠りを妨げるため、寝る前はリラックスできる環境を整えることが大切です。
不規則な食生活や偏った栄養
臨月は赤ちゃんの発育も最終段階に入る大切な時期で、赤ちゃんが下に下がってくることで食欲が増すこともあります。そのとき、ジャンクフードや甘いものばかりに偏ると、お母さんにも赤ちゃんにも負担がかかります。
塩分や糖分を摂りすぎると、むくみや血圧の上昇につながることがあるため注意しましょう。栄養バランスを意識し、規則正しい食生活を心がけることが大切です。
長距離移動が必要な外出
近所への買い物や散歩などの外出は基本的に問題ありませんが、長距離移動を伴う旅行や飛行機での移動はできるだけ避けましょう。移動中に破水や陣痛が始まってしまうと、旅先の医療機関を受診する必要が生じる可能性があり、心身の負担につながることがあります。
また、万が一の事態に備えて、外出時は健康保険証や母子手帳などを持ち歩きましょう。一人よりも家族や友人などと一緒に行動すると安心です。
臨月の過ごし方やポイント
臨月の過ごし方は、出産の回数や時期などによっても多少異なります。そこで、状況・シーン・経験別の臨月の過ごし方をご紹介します。
【状況別】仕事を続けている方・在宅中心の方の過ごし方
臨月に入っても仕事を続けている方は、こまめな休憩や業務の調整を意識しましょう。厚生労働省でも、妊娠中は深部静脈血栓症/肺塞栓症(エコノミー症候群)のリスクが上がるため、長時間同じ姿勢を避けるよう推奨しています。
<エコノミー症候群の予防方法>4)
- 1時間に一度、かかとの上下運動を20~30回程度おこなう
- 3~5分程度歩く
体調に不安があるときは、早めに産休へ切り替えるのも安心につながります
専業主婦や在宅中心の方は、家事を一度にまとめてこなすのではなく、短時間で区切りながら進めると負担が軽減できるでしょう。家庭ではパートナーや家族と協力して、出産後を見据えた役割分担を話し合うことで、安心して臨月を過ごすことができます。
【シーン別】在宅時・外出時・睡眠時の過ごし方
自宅では、読書や音楽を楽しんだりアロマを取り入れたりして心を落ち着け、体を休めることを優先しましょう。外出時には母子手帳や連絡先を常に携帯し、疲れを感じたらすぐに休めるよう計画的な行動を意識してください。
夜は眠りが浅くなりやすいため、抱き枕やクッションを利用して快適な寝姿勢を整える工夫が大切です。シーンごとに無理のない工夫を取り入れることで、心身ともに安定した臨月を過ごせます。
【経験別】初産婦・経産婦の過ごし方
はじめての出産を迎える方は、不安が大きい分、出産や育児に関する情報を整理し、必要な準備を進めることで安心感を得られます。母親学級やオンライン講座を活用するのもよい方法です。
経産婦の場合は、上の子のお世話に追われやすいため、家族や支援サービスに協力を依頼し、休息の時間を確保する工夫が必要です。上の子と一緒に赤ちゃんを迎える準備を進めることで、家族全体の絆も深まり、兄弟姉妹の関係づくりにもつながります。
経験によって臨月の悩みや課題は異なるため、それぞれに合った工夫を取り入れることが大切です。
臨月の過ごし方についてよくある質問
臨月は、特にはじめて出産を迎える方にとっては何をしてはいけないのか、何を準備しておけばいいのか悩むことがあるでしょう。以下では、臨月の過ごし方についてよくある質問と回答をご紹介します。
Q. 臨月に避けるべき行動は?
臨月に避けるべき主なこととして、重いものを持つ、お腹を圧迫する行動、長距離移動があります。
いずれも日常生活でしてしまいがちな行動で、特に家事では重いものを持ったりお腹を圧迫したりすることは意外に多いものです。家事をすべて一人でしなければならないこともあるかもしれませんが、体に負担がかかり、むくみや腰痛の原因になることがあります。負担を軽減するために周囲に協力してもらいましょう。
また、感染症予防のために人混みを避けること、体を冷やすことなども避け、体調管理に努めましょう。
Q. 出産に向けて臨月に準備しておくものは?
まず必要となるのは入院準備ですが、入院時に必要な基本的なものに加えて、産後に備えた授乳用ブラジャーや産褥ショーツなども揃えておきましょう。
出産後は、赤ちゃんの肌着や寝具などのほか、授乳用品やおむつ、車で移動する場合はチャイルドシートなども必須です。これらは出産直前・直後ではなく、余裕を持って臨月までに準備しておくと安心です。
正しい臨月の過ごし方で出産準備をしましょう
臨月はいつ出産してもおかしくない時期で、いろいろと日常生活に制限が出てくる時期でもあります。やっていいことやNGなことも多いですが、赤ちゃんを迎えるためには臨月の過ごし方が大事です。臨月は正しい過ごし方を守り、出産へ向けての準備をしましょう。
参考文献
- 母子保健情報センター. 臨月. 母子保健情報センター; 2024.
https://www.mcfh.or.jp/jouhou/yougo/ringetu.html - 日本予防医学協会. 夜泣き予防プロジェクト. 日本予防医学協会; 2020.
https://www.jpm1960.org/pdf/kosodate_pdf2.pdf - 春日部市. 妊娠後期(28週~39週ごろ)の過ごし方. 春日部市; 2024.
https://www.city.kasukabe.lg.jp/soshikikarasagasu/kodomosodanka/gyomuannai/1/5/2/3029.html - 厚生労働省. 深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)について. 厚生労働省; 2016.
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/0000121801.pdf






