産褥期の過ごし方は?出産後の体を無理なく回復させるポイントを紹介

出産後の約6週間は「産褥期(さんじょくき)」と呼ばれ、体と心が出産前の状態に回復していく大切な時期です。この期間に無理をすると、出血や感染症、疲労感などの不調につながることもあります。本記事では、産褥期に知っておきたい体の変化や過ごし方のポイント、注意点について詳しく解説します。

産褥期の過ごし方は?出産後の体を無理なく回復させるポイントを紹介

最終更新日:
2025-12-19
公開日:
2025-12-19

出産後の約6週間は「産褥期(さんじょくき)」と呼ばれ、体と心が出産前の状態に回復していく大切な時期です。この期間に無理をすると、出血や感染症、疲労感などの不調につながることもあります。本記事では、産褥期に知っておきたい体の変化や過ごし方のポイント、注意点について詳しく解説します。

産褥期とは?

産褥期(さんじょくき)とは、出産を終えた女性の体が妊娠前の状態に戻ろうとする期間を指します。

妊娠や出産で大きく変化した体をゆっくり整えていく時期です。ここでは、産褥期の定義や特徴を解説します。

産褥期の期間は出産後約6〜8週間

一般的に産褥期は出産後6〜8週間ほど続くとされています。この間に子宮は元の大きさに戻り、悪露(おろ)と呼ばれる出血も少しずつ治まっていきます。

子宮がゆっくり回復していく時期

産褥期は、妊娠と出産によって大きくなった子宮がゆっくりと妊娠前の大きさに戻る期間です。

一見元気に見えても体内はまだ回復途中であり、家事や外出を無理にしようとすると不調が長引く原因になるため、安静に過ごすことを心がけましょう。

産後うつや情緒が不安定になることも

産後は体の変化に加えてホルモンの影響や育児疲れが重なり、情緒が不安定になりやすい時期です。気分が落ち込んだり涙もろくなったりするマタニティブルーズや、産後うつになることもあります。

マタニティブルーズとは、出産後数日〜2週間のあいだにみられる一時的な気分の不安定さです1)。涙もろくなる、気分が落ち込む、不安が強くなるなどの症状がみられ、多くは数日で自然におさまります1)

ただし、症状が長引く場合は産後うつに移行することもあるため、早めに医療機関へ相談しましょう。

産後うつは、出産後数週間〜数か月のあいだに、気分の落ち込みや不安、眠れない、疲れやすい、育児が楽しめないなどの症状が続く状態で、出産した方の10〜15%にみられる病気です2)

これは本人の性格や育児の仕方が原因ではありません。症状が続くときは、まず休養をとり、かかりつけ医や産科医、保健師、精神科医などに相談しましょう。

周囲に話を聞いてもらったり、家事や育児を手伝ってもらうことも助けになります。必要に応じて薬による治療を行うこともあり、早めに適切なサポートを受けることでしっかり回復することができます。

また、ホルモンの急激な変化によって体調が乱れることもあり、発汗や便秘、むくみなどの不調が現れることも珍しくありません。

産後は体やライフスタイルが大きく変化するため、1人で抱え込まず、家族や周囲を積極的に頼るようにしましょう。

産褥期の体と心を回復させる過ごし方

産褥期は、ゆっくりと休むことが大切です。体が回復していく時期に無理をすると、回復が遅れたり体調を崩してしまうこともあります。ここでは、産褥期の体と心を回復させる過ごし方を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

安静と休養を優先する

産褥期は、とにかく体を休めることを心がけましょう。十分な休養を取ることで子宮の回復がスムーズになり、母乳の出や体力の回復にもよい影響を与えます。

赤ちゃんと一緒に昼寝をしたり、家事を後回しにしてでも睡眠を優先しましょう。また、やむを得ない事情を除き、無理な外出は控えるのがおすすめです。

家事や育児は無理なく行う

出産後の体は思っている以上にダメージを受けています。家事を完璧にこなそうとすると疲れが蓄積し、体調を崩すこともあります。

洗濯や掃除、料理などの家事は、できる限り家族にお願いしてください。どうしても協力が得られない場合でも必要最低限にとどめ、横になる時間を増やすよう心がけましょう。育児についても、パートナーや家族と分担しながら無理のない範囲で取り組むことが大切です。特に2人目の場合は、兄弟のお世話や送り迎えを工夫しながら行いましょう。

栄養バランスのとれた食事を心がける

産後は、栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。授乳中は、エネルギーやたんぱく質をはじめ、多くのビタミンやミネラルが不足しやすく、妊娠前より多めの摂取が推奨されています。特にビタミン類や鉄、亜鉛などを含む食べ物を意識し、偏りのない食事を心がけましょう。

無理な制限や特定の食品を避ける必要はなく、バランスよくしっかり食べることが基本です。

料理をすることも負担になりやすいため、家族に協力してもらうだけでなく、冷凍食品やミールキット、宅配サービスなどを利用するといった工夫も必要です。

不安や落ち込みを無理に抑えない

産後は気持ちが不安定になり、涙もろくなったり落ち込みがちになることもあります。これは性格や頑張りの問題ではなく、誰にでも起こりうる自然な反応です。無理に気持ちを抑え込んだり我慢すると心に負担が大きくなるため、家族や友人などに気持ちを話してみましょう。

共感してもらうだけでも心が軽くなり、安心感を得られます。また、出産した病院や助産師・保健師、行政の相談窓口などの専門職に相談することも大切です。「こんなことで相談していいのかな」と悩まず、早めに頼ることが回復の助けになります。必要に応じて精神科や心療内科の受診も選択肢のひとつです。

産後ケアサービスを活用する

近年は自治体や医療機関で産後ケアサービスが充実してきています。ゆっくり休める環境がない場合、助産師などによる訪問サービスや、産後ケアホテルでの滞在型サービスなどを利用することもおすすめです。

特に2人目の場合は育児をしながら過ごすこととなり、ゆっくり休息が取れる時間がないこともあります。頼れる人がいない場合でも、自分ひとりで頑張らず、こうしたサービスをうまく取り入れましょう。

自治体によって利用できるサービスや申請方法は異なります。電話相談、オンライン相談などもあるため、自分に合ったサポートを上手に活用しましょう。

産褥期に注意すべき症状

産褥期は体の回復が進む一方で、さまざまなトラブルが起こることもあります。放置すると症状が悪化することもあるため、少しでもおかしいと感じたら医療機関を受診しましょう。ここでは、産褥期に注意すべき症状を解説します。

出血が止まらない

産褥期には悪露が数週間続きますが、鮮やかな赤い出血が長く続いていたり出血量が極端に多い場合は注意が必要です。出産時の胎盤や卵膜の一部が子宮内に残っている、子宮の回復が遅れているなど、何らかの異常が関わっている可能性があります。

真っ赤な出血が続く、出血が減らない・増えてきた、または産後1か月以上経っても出血がある場合は、放置せず早めに医師に相談することが大切です。

強い腹痛や発熱

子宮収縮による腹痛は産褥期にはよくある症状ですが、強い腹痛や高熱が出る場合は子宮内感染症など異常な場合があります。強い腹痛や38度以上の発熱が続く場合は、すぐに受診しましょう。

乳房の痛みや乳腺炎

乳腺炎は、乳房の一部が赤く腫れ、痛みや熱感、発熱を伴うことがある状態です。授乳中はいつでも起こる可能性がありますが、特に産後2〜3週に多くみられます3)。授乳間隔があく、赤ちゃんがうまく吸えない、乳頭の傷などが原因になります。乳房の痛みや赤みなど気になる症状が続く場合は早めに相談しましょう。

乳腺炎が疑われるときは、授乳姿勢や赤ちゃんの飲み方の確認など授乳のサポートや、助産師による乳房ケア、医師による薬の処方が行われることもあります。

気分の落ち込み

出産後は、体の変化に加えて生活環境や役割の変化、育児の大変さなどが重なり、精神的な不調が起こりやすい時期です。長引いたり育児に支障をきたす場合は産後うつの可能性があります。

些細なことでもひとりで抱え込まず、家族や友人に相談し、ストレスを発散することを心がけましょう。また、症状が悪化する前に助産師や保健師などの専門職、心療内科や産婦人科などを頼ることも大切です。

産褥期の過ごし方に関するよくある質問

産褥期の過ごし方に関するよくある質問とその答えを解説します。産褥期をどのように過ごすべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q. 産後何日安静にするべきですか?

産褥期は約6週間続くため、その間は無理をせず体の回復を第一に考えましょう。特に出産直後は体力の消耗が大きいため、産後の2〜3週間は赤ちゃんの世話や自分の身の回りのことを中心に行い、できるだけ安静に過ごすことが望ましいとされています。産後3週以降は寝たきりである必要はありませんが、無理のない範囲で少し活動する程度にとどめましょう。

産褥期はなるべく横になる時間を増やし、家事や外出は控えましょう。少しずつ体調を見ながら日常生活に戻していくのがベストです。

Q. 産後は水に触ったらいけないって本当?

昔は「産後は水仕事をすると冷えて体を壊す」と言われていましたが、科学的な根拠はありません。ただ、無理をしないようにということを示しています。なるべく長時間の仕事や重労働は避け、ゆっくり過ごすことが大切です。

Q. 産褥期に安静にしないとどうなる?

産褥期に無理をしてしまうと、子宮の回復が遅れたり出血が長引く可能性があります。また、疲労や睡眠不足は産後うつの一因となることもあります。安静に過ごすことで母体の回復だけでなく、メンタルの安定にもつながります。

産褥期の過ごし方をチェックしておこう

産褥期は、出産後の体と心を回復させるための大切な期間です。無理せず休養を優先し、栄養バランスの取れた食事や水分補給、家族のサポートを受けながら過ごすことがポイント。また、出血が増える、強い痛みが続く、気分の落ち込みなどの気になる症状がある場合は、早めに医療機関に相談することで、体と心の回復を助けることにつながります。

参考文献

1)日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会.  産婦人科診療ガイドライン産科編2023.

https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2023.pdf

2)日本精神神経学会・日本産科婦人科学会.こころの不調や病気と妊娠・出産のガイド.

https://www.jspn.or.jp/guide/introduction/

3)日本助産師会.乳腺炎ケアガイドライン2020 2版. 

https://www.midwife.or.jp/user/media/midwife/page/guilde-line/tab01/nyusenen_guideline_2020_2.pdf

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