2人目不妊の原因は女性・男性どちらにもある
多くの人が「1人目を自然妊娠できたなら、2人目もスムーズに授かるだろう」と考えていますが、 実際には思うようにいかないケースも少なくありません。
女性は年齢を重ねることで妊娠率が下がり1)、第一子出産後に子宮や卵巣の状態が変化することもあります。
たとえば子宮筋腫や子宮内膜症は、1人目の妊娠時には影響がなくても、症状が進んでしまうことで2人目では妊娠のしづらさにつながることがあります2)。出産後に生理痛が強くなったり、出血量が増えたりした場合は、早めに医師へ相談しましょう。
一方、男性も加齢や生活習慣の影響で精子の数や運動率が低下することがあります2)。さらに、精索静脈瘤(精巣の周辺の静脈が拡張してこぶ状になる病気)が原因で精子の質に影響を与える場合もあります2)。1人目の妊娠時には問題がなくても、2人目妊活で初めて不妊要因となることもあります。
精液検査で問題を指摘された場合は、専門の男性不妊外来を受診することをおすすめします。
なお、自己流で半年〜1年妊活しても授からない場合は、年齢にかかわらず一度クリニックを受診するのがおすすめです。35歳以上であれば、より早めの受診を検討するとよいでしょう。

不妊治療を続けるか迷ったときの考え方
いざ治療を始めると、費用や通院の大変さに驚く人も多いです。小さな子どもがいる家庭では、さらに負担を感じやすいでしょう。思うように結果が出ないと「いつまで不妊治療を続ければいいのか」と迷うのは当然です。
自分の気持ちと向き合う
まずは「なぜ2人目が欲しいのか」を考えてみましょう。「一人っ子はかわいそう」「きょうだいがいるのが普通」といった思い込みから焦っていないか、自分の本音を確かめることが大切です。
ママ友の妊娠を見て焦りを感じるのは自然なことですが、その感情と、自分たちが本当に望む家族の形は別のものかもしれません。治療を続けるかどうかを決める前に、自分たちの人生にとって何が大切なのかをしっかり考える時間を持つことが重要です。
パートナーと話し合う
自分の気持ちを整理したら、パートナーの考えも確認しましょう。お互いの希望を共有し、どのような家族の形を望むのかを話し合うことが欠かせません。
ここで重要なのは、相手の気持ちをまずは確認することです。パートナーは治療のプレッシャーを感じているかもしれませんし、別の考え方を持っているかもしれません。対話を通じて、2人が一緒に進む道を見つけることが、その後の治療をスムーズに進めるためにも、心身の負担を軽くするためにも重要です。
家事や育児の負担をパートナーと分担する
不妊治療を続けると決めたら、家事や育児の役割分担を見直しましょう。通院はどうしても女性が中心になりがちです。その状態で家事や子育てまで1人で抱え込むと心身が疲れてしまいます。パートナーと協力し、負担を軽減する工夫をしましょう。
具体的には、通院の日は食事を簡単にするメニューにする、育児の負担をパートナーに増やしてもらう、家事代行サービスを利用するなど、できることから始めましょう。パートナーと協力し、負担を軽減する工夫をすることが、長く治療を続けるための秘訣です。
不妊治療の期限を決める
「○回の治療まで」「○歳まで」といった期限を設けるのもひとつの方法です。明確な終わりがあると、心理的にも「ここまでは頑張ろう」という気持ちで取り組みやすくなります。
ただし、ゴールは固定的でなく、途中で見直すことも大切です。状況や気持ちの変化に応じて、柔軟に調整することを忘れずに。
自分たちにとっての幸せを見つける
妊娠に「絶対」はありません。たくさん努力しても授からないことがあります。周囲のママ友が第2子や第3子を次々に出産する姿を見ると、どうしてもつらい気持ちになるかもしれませんが、家族の幸せの形はそれぞれです。周囲と比べるのではなく、自分たちにとっての幸せを大切にしてください。
もしひとりで考え込んで答えが出ないときは、心理カウンセラーに相談するのもおすすめです。対面、オンラインなど、さまざまな形式の相談窓口がありますので、必要に応じて活用してみてください。
※2022年4月より、人工授精や体外受精(ART)を含む多くの不妊治療が公的医療保険の適用対象となり、二人目不妊の治療も対象に含まれています。ただし、体外受精など一部の治療については、治療開始時点の女性の年齢(43歳未満)や回数に制限が設けられています。治療費や適用期間について不明な点がある場合は、経済的な見通しを立てるためにも、最新かつ正確な制度の詳細を公的機関の情報で確認してみましょう。(参考:こども家庭庁「不妊治療に関する取組」)
参考文献
1)日本生殖医学会 年齢が不妊・不育症に与える影響
Q22.女性の加齢は不妊症にどんな影響を与えるのですか?日本生殖医学会ウェブサイト.
http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa22.html
2)日本生殖医学会 リスク因子
Q5.どんな人が不妊症になりやすいのですか? 日本生殖医学会ウェブサイト.
http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa05.html







