妊娠中に不安を感じるのは自然なこと
妊娠がわかったとき、周りからは「おめでとう!」「幸せな時期だね」と声をかけられることが多いかもしれません。でも実際には、不安や心配で心がいっぱいになってしまうこともありますよね。
妊娠は確かに喜ばしい出来事ですが、体も心も大きく変化するため、人生の中でもとてもストレスが大きい出来事でもあります。そのため、妊婦さんの中には「幸せいっぱい」と感じる方もいれば、「不安ばかりで心から喜べない」と感じる方もいます。どちらも「よくあること」であって、どちらが正しい、 間違っているということはありません。
特に流産の経験がある方にとって、「また同じことが起きたらどうしよう」という思いが頭から離れないのは、とても自然なことです。まずはその気持ちを「弱さ」ではなく「赤ちゃんのことが大切だからこその感情」として、受け止めていただきたいなと思います。
とはいえ、不安や恐怖の感情は、なるべくなら感じたくないもの。でも実は、不安は「未来への備えをしましょう」というサインで、恐怖は「危険から身を守りましょう」というアラームです。つまり、不安を感じるのは赤ちゃんを守りたい気持ちの裏返し。あなたが心をつくしている証拠なのです。
妊娠は「子育ての練習期間」
妊娠中は、赤ちゃんの様子をいつも目で確認できるわけではありません。胎動を感じて安心する瞬間もあれば、その後すぐに不安が押し寄せることもあるでしょう。
赤ちゃんが生まれてからも、「ちゃんと息をしているかな」「元気に育っているかな」と、心配は続きます。
子育ては、完全な保証がある世界ではなく、不安とどう付き合うかを学びながら進んでいく営みです。ある意味、妊娠中はその「練習期間」といえるのかもしれません。

不安に飲み込まれそうになったら
しかし、不安が大きくなりすぎると、心が落ち着かず疲れてしまいます。そのときに役立つのは「不安を言葉にして外に出すこと」です。
たとえば
- どんなことが不安なのか
- その不安をどのくらい強く感じているか
- その不安の背景にどんな考えがあるか
をノートに書き出してみたり、信頼できる人に話してみたりするのです。
言葉にすることで、自分の不安を客観的に眺められるようになるため、「思っていたより小さな不安」と感じることもあります。
妊娠中に利用できるサポートもチェックしてみよう
とはいえ、一人で不安を抱え込む必要はありません。実は、妊娠中に利用できるサポートがたくさんあります。
ここでは、自治体や医療機関で活用できる支援についてご紹介します。自治体や医療機関によって内容は異なりますが、次のような支援を活用できる場合があります。
- 母子健康手帳交付時の面談:妊娠届を提出するときに、保健師や助産師から面談を受けられます。そのときに、不安な気持ちや生活の悩みを話してみるのもよいでしょう。
- 妊婦健診での相談:健診は赤ちゃんの健康だけでなく、お母さんの心のケアの場でもあります。不安なことを医師や助産師にそのまま伝えてみましょう。
- 保健センターの電話・訪問相談:妊娠中から利用できる相談窓口があり、「心配で眠れない」など、不安な気持ちを相談できます。
- 母親学級・両親学級:妊娠・出産・育児の知識を学びながら、同じように不安を抱える妊婦さんと出会える場です。「不安なのは自分だけじゃない」と思えることが心の支えになるでしょう。
- 民間の相談窓口:地域の助産院やオンライン相談など、気軽に話を聞いてもらえる場も増えています。
このようにお母さんを支える場がたくさん用意されています。自分が安心できる窓口を見つけて、気軽に利用してみてください。
「不安な気持ち」も大切な一歩
不安があるのは、赤ちゃんを大切に思っているからこそ。その気持ちがあるからこそ、あなたはすでにお母さんとしての一歩を歩んでいます。
母親になることは、喜びや楽しさだけでなく、不安や戸惑いも抱えながら進んでいく道のりです。そのすべての感情が、これからの子育てを支える大切な経験につながっていきます。どうか「不安な自分」もそのまま受け止めてあげてくださいね。
ただし、不安が大きくなりすぎたときは、一人で抱え込まなくて大丈夫です。話を聞いてもらうだけでも、心が軽くなることがあります。助産師や保健師など、専門職に相談することも大きな支えになります。
心よりご安産をお祈りしています。









