【vol.2】「『また流産したらどうしよう…』と怖くなります」その不安とどう付き合えばいい?

産前産後は、女性の生涯で最もホルモンバランスが変動する時期。心と体が不安定になりやすいこの時期を、どう乗り越えればいいのでしょうか?助産師が、ホルモン変化のメカニズムから、ママ自身やご家族ができる具体的なストレス対処法・セルフケアのコツまで、実践的にアドバイスします。

【vol.2】「『また流産したらどうしよう…』と怖くなります」その不安とどう付き合えばいい?

最終更新日:
2025-11-21
公開日:
2025-11-04
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周りは楽しそうにマタニティライフを過ごしているのに、私は不安ばかりで心から喜べません。 1人目を流産した経験があるため、「また同じことが起きたらどうしよう」という思いが頭から離れず、赤ちゃんが元気に育つと信じたい気持ちと怖さが常に入り混じっています。胎動を感じて嬉しい瞬間もあるのに、その後すぐに不安に襲われてしまい、心が安定しません。 母親になる喜びよりも恐怖や心配が大きく、こんな気持ちのままで本当に母親になれるのか、不安で仕方がありません。

妊娠中に不安を感じるのは自然なこと

妊娠がわかったとき、周りからは「おめでとう!」「幸せな時期だね」と声をかけられることが多いかもしれません。でも実際には、不安や心配で心がいっぱいになってしまうこともありますよね。

妊娠は確かに喜ばしい出来事ですが、体も心も大きく変化するため、人生の中でもとてもストレスが大きい出来事でもあります。そのため、妊婦さんの中には「幸せいっぱい」と感じる方もいれば、「不安ばかりで心から喜べない」と感じる方もいます。どちらも「よくあること」であって、どちらが正しい、 間違っているということはありません。

特に流産の経験がある方にとって、「また同じことが起きたらどうしよう」という思いが頭から離れないのは、とても自然なことです。まずはその気持ちを「弱さ」ではなく「赤ちゃんのことが大切だからこその感情」として、受け止めていただきたいなと思います。

とはいえ、不安や恐怖の感情は、なるべくなら感じたくないもの。でも実は、不安は「未来への備えをしましょう」というサインで、恐怖は「危険から身を守りましょう」というアラームです。つまり、不安を感じるのは赤ちゃんを守りたい気持ちの裏返し。あなたが心をつくしている証拠なのです。

妊娠は「子育ての練習期間」

妊娠中は、赤ちゃんの様子をいつも目で確認できるわけではありません。胎動を感じて安心する瞬間もあれば、その後すぐに不安が押し寄せることもあるでしょう。

赤ちゃんが生まれてからも、「ちゃんと息をしているかな」「元気に育っているかな」と、心配は続きます。

子育ては、完全な保証がある世界ではなく、不安とどう付き合うかを学びながら進んでいく営みです。ある意味、妊娠中はその「練習期間」といえるのかもしれません。

不安に飲み込まれそうになったら

しかし、不安が大きくなりすぎると、心が落ち着かず疲れてしまいます。そのときに役立つのは「不安を言葉にして外に出すこと」です。


たとえば

  • どんなことが不安なのか
  • その不安をどのくらい強く感じているか
  • その不安の背景にどんな考えがあるか

をノートに書き出してみたり、信頼できる人に話してみたりするのです。

言葉にすることで、自分の不安を客観的に眺められるようになるため、「思っていたより小さな不安」と感じることもあります。

妊娠中に利用できるサポートもチェックしてみよう

とはいえ、一人で不安を抱え込む必要はありません。実は、妊娠中に利用できるサポートがたくさんあります。

ここでは、自治体や医療機関で活用できる支援についてご紹介します。自治体や医療機関によって内容は異なりますが、次のような支援を活用できる場合があります。

  • 母子健康手帳交付時の面談:妊娠届を提出するときに、保健師や助産師から面談を受けられます。そのときに、不安な気持ちや生活の悩みを話してみるのもよいでしょう。
  • 妊婦健診での相談:健診は赤ちゃんの健康だけでなく、お母さんの心のケアの場でもあります。不安なことを医師や助産師にそのまま伝えてみましょう。
  • 保健センターの電話・訪問相談:妊娠中から利用できる相談窓口があり、「心配で眠れない」など、不安な気持ちを相談できます。
  • 母親学級・両親学級:妊娠・出産・育児の知識を学びながら、同じように不安を抱える妊婦さんと出会える場です。「不安なのは自分だけじゃない」と思えることが心の支えになるでしょう。
  • 民間の相談窓口:地域の助産院やオンライン相談など、気軽に話を聞いてもらえる場も増えています。

このようにお母さんを支える場がたくさん用意されています。自分が安心できる窓口を見つけて、気軽に利用してみてください。

「不安な気持ち」も大切な一歩

不安があるのは、赤ちゃんを大切に思っているからこそ。その気持ちがあるからこそ、あなたはすでにお母さんとしての一歩を歩んでいます。

母親になることは、喜びや楽しさだけでなく、不安や戸惑いも抱えながら進んでいく道のりです。そのすべての感情が、これからの子育てを支える大切な経験につながっていきます。どうか「不安な自分」もそのまま受け止めてあげてくださいね。

ただし、不安が大きくなりすぎたときは、一人で抱え込まなくて大丈夫です。話を聞いてもらうだけでも、心が軽くなることがあります。助産師や保健師など、専門職に相談することも大きな支えになります。

心よりご安産をお祈りしています。

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