妊娠中はこれまで通りができなくて当たり前
ご懐妊おめでとうございます。つわりで体調が悪くても職場に迷惑をかけたくないと思うと、なかなか休むことができませんよね。その結果、体も心もつらくなってしまう……その気持ち、とてもよくわかります。
妊娠すると、これまで自分だけに使えていたエネルギーや時間を、お腹の赤ちゃんとも分け合わなければなりません。これまで普通にできていたことが、同じようにはできなくなるのは自然なことです。
特に、これまで無理してでも頑張ることを大切にしてきた方ほど、妊娠中はこれまで通りのやり方ではうまくいかないと感じやすいでしょう。
休むことに抵抗がある背景
日本には皆勤賞や無遅刻無欠席といった文化が根強く残っています。小さい頃から「人に迷惑をかけてはいけない」「自分のことは自分でやるべき」と教えられてきたからこそ、仕事を休むことに強い抵抗を感じる方は少なくありません。
しかし、妊娠中に必要なのは心と体と時間のゆとりです。
アフリカには、ひとりの子どもを育てるには一つの村が必要、いうことわざがあります。子育てはひとりではなく、多くの人の支えを受けながら進んでいくものです。妊娠中から「手伝って」と頼んだり、「助けて」と言ったり、できないと伝えたりすることは、とても大切な力なのです。

休めない状況は勇気を出すためのチャンスかも
つわりで思うように働けない状況は、実は上手に休むことや周りと協力すること、自分のキャパシティを超えることを断ることを練習するチャンスでもあります。
そうはいっても、やっぱり休みたいと言えないから困っているという気持ちもよくわかります。休むことや「NO」と言うことには大きな勇気がいります。
しかし今、あなたにとって一番必要なのは無理をして働き続けることではなく、「自分を大切にすること」ではないでしょうか。
自分を大切なお友達に置きかえてみる
想像してみてください。もし大切なお友達が体調が悪いのに無理をして出勤していたら、あなたは何と声をかけますか?
きっと「頑張って働きなよ」とは言わず、「大丈夫?休んだ方がいいんじゃない?」とやさしく声をかけるのではないでしょうか。
今、あなた自身もそのお友達と同じ状況です。必要なのはもっと頑張ることではなく「思いやり」です。職場や家族からの思いやりももちろん必要ですが、何よりもまず、自分自身から自分へ向けた思いやりを持つことが大切です。
妊娠中に使える制度やサポートの利用も検討してみて
ちなみに妊娠中は、法的にも職場に配慮を求めることができます。
- 母性健康管理指導事項連絡カード
妊婦健診で医師から自宅安静や勤務時間短縮などの指示が出た場合、それを会社に伝えるための書面です。職場に遠慮せず、自分と赤ちゃんを守るために活用しましょう。 - 勤務の調整
通勤ラッシュを避けるための時差出勤や在宅勤務を相談できる場合もあります。 - 自治体や保健センターの相談窓口
妊娠中の体調や仕事との両立について相談できる場があります。
ひとりで抱え込まず、制度や周囲のサポートを利用して大切な時期を守ってくださいね。
自分への思いやりを忘れずに
つわりは、赤ちゃんが「お母さん自身を大切にしてね」と教えてくれるサインかもしれません。自分と赤ちゃんを守るために休むことは、決してわがままではなく、むしろとても大切な選択です。
これから子育てが始まると、思い通りにいかないことや助けが必要な場面はたくさん出てきます。そのときに、無理をせず環境を調整できることは大切な力となります。
どうか自分を責めず、自分自身にやさしい言葉をかけてあげてくださいね。









